民泊運営は、所有している物件を有効活用し、収益につなげる方法として注目されています。しかし、民泊運営にはメリットだけでなく、デメリットも存在します。この記事では、民泊で考慮すべきリスクや対策についても紹介しています。これから民泊を始めようと考えている方は参考にしてください。
民泊運営のメリット
民泊運営には、空き家の有効活用や収益化、自分のライフスタイルに合わせた運営など、多くのメリットがあります。ここでは、具体的なメリットについて詳しく解説します。
物件の有効活用
所有している空き家を民泊として運営することで、使用していない物件を有効活用できます。空き家はそのままにしておくと痛むだけでなく、所有しているだけで固定資産税などの支払いも発生します。
見栄えよく使いやすいようにリフォームすることで、民泊として再利用可能です。たとえば、子どもが独立して空いた部屋を利用し、家主居住型の民泊にすることも可能です。利用していない空き家を収益源に変えられるのは、民泊の大きなメリットです。
自分に合わせられる
民泊を運営する際、オーナーは宿泊価格の設定や利用可能な日程を自由に決められます。本業がいそがしい時期は、予約を受け付けないなどの対応も可能です。たとえば、祭りやスキーシーズンのみ営業するなど、自分のスケジュールに合わせて柔軟に運営できます。
少額から始められる
民泊を開始するためには、所有物件や賃貸物件を活用することで少額から始められます。ベッドやテーブルなどの最低限の家具や調理器具、生活用品などを揃えるための初期費用は、100万円以内で収まることがほとんどです。
賃貸として貸し出している物件であれば、水回りの設備も整っています。大規模な資金調達を必要とせず、リスクを抑えながら民泊を始められるでしょう。
売却できる
所有物件で民泊を始めた場合は、事業がうまくいかなかった場合でも物件を売却できます。民泊運営が順調な場合には、事業ごと売却することも可能です。空港や駅から近いなど、立地にすぐれ、おしゃれにリノベーションされた物件は、とくに高い評価を受けやすい傾向があります。
民泊運営のデメリット
民泊には、多くのメリットが存在しますが、デメリットも見逃せません。物件の損傷や近隣とのトラブル、運営の手間など、さまざまな問題が発生する可能性があります。
汚れや破損リスク
民泊は、さまざまな観光客を迎え入れるため、物件が汚されたり壊されたりするリスクをともないます。不注意や故意による破損はよくあることです。修理や交換が必要となり、運営コストの増加につながります。
近所からの苦情
民泊運営では、生活音やマナーの問題により、近隣住民からの苦情が発生するケースもあります。とくに夜間の騒音やゴミの不適切な処理などは、近隣住民とのトラブルのもとです。
年間営業日数に上限あり
日本の民泊新法では、年間宿泊日数の上限が180日に制限されています。そのため、1年中営業することは法的に不可能です。
トラブル対応
民泊運営には多くの手間がかかります。掃除やリネンの交換、鍵の受け渡し、24時間対応の問い合わせ対応など、運営者は常に気を休められません。とくに副業として行う場合、本業の時間と重なると対応がむずかしく、宿の評価低下やストレスにつながりやすくなるでしょう。
収益が不安定
民泊運営は、収益が上がらない場合や、経費がかかりすぎて赤字になるリスクをともないます。季節や社会情勢の影響を受けやすく、収益は不安定です。とくに、新規参入者は集客方法やゲスト対応に慣れていないため、利益を出しづらい傾向があります。
口コミによる価値低下
民泊事業において、口コミは非常に重要です。低評価やネガティブなレビューが付くと、予約が入りづらくなります。悪いレビューが増えると物件の価値も低下し、魅力がないとみなされてしまいます。
民泊運営を始める前の注意点
民泊運営にはデメリットもありますが、よくあるトラブルの種類を把握し、あらかじめ対策を講じることで、問題を未然に防げます。民泊運営を始める前に、よく確認しておきましょう。
ハウスルールの作成
日本ではあたりまえのルールでも、外国人観光客には理解しづらいことがあります。騒音トラブルに対しては、ハウスルールには静かに過ごす時間帯を明記し、チェックイン時にゲストに直接説明することで、ルールの理解と遵守を促しましょう。
防音設備の導入も効果的です。また、外国人観光客が備品とアメニティと誤解して持ち出すことがあるため、価格の高い備品は使用せず、必要以上のものは置かないようにしましょう。ハウスルールにも明確に記載することをおすすめします。
さらに、ハウスルールにはゴミの分別方法や禁煙の指示、備品の使用方法なども記載し、玄関やリビング、寝室に掲示することでトラブルを未然に防げます。
ハウスルールは多言語で作成し、イラストを交えて分かりやすく提示することが重要です。英語、韓国語、中国語などで記載すると、利用客に寄り添った対応ができます。
民泊保険への加入
どんなに事前に対策を講じても、予測できない事故やトラブルは発生します。これに備えるために、民泊保険に加入しておくと安心です。
民泊保険は、宿泊中の事故や観光客による物損、第三者への損害賠償などをカバーしてくれます。火災保険は、事業用に使用している物件には適用されないことが多いため、契約をよく確認しておくことが必要です。
まとめ
民泊運営には、空き家の有効活用や収益の増加などの多くのメリットがある一方、物件の損傷や近隣トラブルといったデメリットも存在します。デメリットをカバーするために、ハウスルールの明確化、民泊保険の加入など、事前の準備が欠かせません。成功のためには、観光客とのコミュニケーションを大切にし、柔軟に対応することです。オーナーのみでの管理がむずかしいようなら、民泊代行業者に依頼することもひとつの解決方法です。