一般的に、民泊の経営には多くの初期費用が必要です。そこで、少しでも経費を抑えるためには、国や地方自治体などが提供している補助金や助成金をうまく活用するといいでしょう。この記事では、民泊で使える補助金について、国が提供している補助金、地方自治体が提供している補助金制度の例、その他の補助金に分けて紹介していきます。
国が提供する補助金の種類
まずは、国が提供している補助金の中でおすすめのものを3つ紹介しましょう。
事業再構築補助金
1つめは、事業再構築補助金です。この補助金は、経済的に問題を抱えている個人事業主や中小企業が事業を再構築していくのを支援するための補助金だといえます。一般的に民泊を開業するためには、建物を新築したり改修したりするためのまとまった資金が必要となります。
これらのすべてを自己資金で負担するのは大変でしょう。しかし、事業再構築補助金をうまく活用すれば、初期投資を抑えることができるのであまり多くない自己資金でも開業できます。インバウンド向け民泊の場合には、成長分野進出枠で申請するとよいでしょう。
一方、国内観光客に向けての民泊の場合には、コロナ回復加速枠で申請するのがおすすめです。なお、この補助金の採択率は、30~50%程度で比較的ハードルは高くなりますが、補助金の上限額が高く設定されているというメリットがあります。
小規模事業者持続化補助金
2つめは、小規模事業者持続化補助金というものです。商工会や商工会議所が管理している地域にある小規模事業者を対象としています。この補助金には、小規模事業者が顧客を獲得するために商品を開発する費用や新たな市場にチャレンジするために必要な費用を一部負担してくれるという特徴があります。
活用事例としては、エアコンや空気清浄機などの設置、水回り設備の設置に必要な外注費などがあげられます。採択率は約60%と高いうえに、商工会や商工会議所の担当者と相談しながら申請できるというメリットもあるため初心者には特におすすめです。
IT導入補助金
3つめは、中小企業や小規模事業者などがさまざまな経営課題を解決するためのITツールを導入することを目的としたIT導入補助金です。
対象となるのはソフトウェアや導入関連費で、民泊における活用例としては、宿泊予約システム・会計システム・決済システムなどに必要なパソコン・タブレット・プリンター・発券機・POSレジ・モバイルPOSレジ・複合機の導入などがあげられます。
自治体が提供する助成金
次に、地方自治体が提供している助成金についてもみていきましょう。支援の内容は自治体ごとに異なるので、民泊を始めようとする地域に助成金制度がある場合にはしっかり調べて活用してください。ここでは、例として3つの地方自治体の助成金を紹介します。
奈良県
奈良県では、価格高騰で打撃を受けている宿泊施設の事業者を支援するための助成金があります。新たに民泊をスタートする事業者は残念ながら助成の対象外ですが、すでに民泊を運営している場合には一律5万円の支援を受けることができます。
福岡市
福岡市では、民泊が取り組んでいるデジタル化、災害対応強化、外国人観光客の受け入れ環境強化にかかる費用を助成してもらえます。補助対象となるのは交付決定日以降に購入・実施されたものに限られますが、経費の1/2以内で上限10万円まで補助してもらえます。
鳥取県倉吉市
鳥取県倉吉市では、観光客に農山村生活を体験してもらうことを目的とした民泊を整備するための助成金があります。具体的には、宿泊者が利用するトイレ、洗面所、台所、浴室などの改修やバリアフリー化に活用できます。なお、補助率は経費の1/2で上限30万円まで補助してもらえます。
その他の補助金や助成金とは
ここからは、その他の補助金についても紹介します。
ものづくり・商業・サービス生産性向上補助金
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金とは、独立行政法人中小企業基盤整備機構が募集している補助金です。この補助金制度の目的は、インボイス制度や働き方改革などに取り組んでいる企業を支援することです。
民泊におけるサービス向上にかかる設備の投資費用や、新たなサービスの開発にかかる費用などを補助してもらえます。具体的な活用例としては、宿泊施設のリニューアル費用や改装をするのにかかる外注費などがあげられます。
まとめ
設備投資費用やシステム導入費用など、民泊を始めるには多額の初期費用が必要となります。これらの経費をできるだけ抑えるためには、国や地方自治体などが提供している補助金や助成金を調べてうまくコストを削減していくことが大切です。また、すでに民泊を経営している場合に使える補助金もあります。この記事では、民泊で使える補助金について、国が提供している補助金、地方自治体が提供している補助金の例、その他の補助金に分けて紹介しました。国の補助金としては、事業再構築補助金・小規模事業者持続化補助金・IT導入補助金などが活用できます。国が提供している以外のものでは、ものづくり・商業・サービス生産性向上補助金を紹介しました。地方自治体の補助金については、自治体ごとに異なるので事前によく調べることが大切です。